Body-Talk Topics(トピックス)

Body-Talk Topics バックナンバー

[2006年7月]

テーマ/とっさの時に声が出る意味_vol.1

 石につまづいて転びかけると、私たちは思わず「アッ」と声をあげます。これは、本能的な反応です。つまづいた瞬間、反射神経の働きで足の筋肉は硬くなります。そのとき声を発すると、脳の抑制が解け、上手に転んで、ケガを最小限度にとどめるのです。また、疲れた体を起こそうとするとき、「よっこらしょ」と言いますね。それは全身の筋肉がまとまって、立ち上がりやすくなるのです。そういうわけで、とっさの事態に声を出すことによって、すばやく行動が行えるようになるのです。

 ある駅のプラットホームで、痛ましい事故が起こりました。20年も前の話です。一人の女子高生が落し物をしたらしく、線路に下りてウロウロしていました。やがて電車がやってくる!彼女はすばやくプラットホームに両肘をかけました。片足をあげれば上れる高さでした。でも、スカートをはいていたのでしょう。女の子が脚を上げてはみっともない、という脳の抑制があったのです。彼女に一瞬のためらいがありました。もちろん周りの人も、幾人かは危険を察知しました。ですが、誰も手を差し伸べませんでした。誰かが引っ張り上げるだろう、と一瞬のとまどいが周りの人にもあったのです。この両者の、ほんのわずかなためらいが、命取りになりました。電車の急ブレーキも間に合わず、女子高生は撥ねられて即死しました。

 どうして助からなかったのでしょう。惜しまれるのは、彼女が一声でも「キャー!」とか「誰か!」とか「助けて!」と、叫べばよかったのです。その声がきっかけになって、周りの人がすぐさま駆け寄って、引っ張り上げたでしょう。あるいは、誰かが「危ない!」と叫べば、その一声で周りの人は駆け寄ることが出来たのです。

 声の道をつけておくことは、自分の身を守るためにも、とても大事な事なのです。ボディートークでは、しなやかな体の動きから発する自然な声のプログラムをたくさん用意しています。是非、体得してみてください。