Body-Talk Topics(トピックス)|暖かい息で生きていますか

Body-Talk Topics バックナンバー

[2012年4月]

テーマ/「誘い合ってこそ、事はスムーズに」_vol.23

 卵の中でヒヨコは成長します。そして殻を打ち破る時期が来ると、ミズカラ殻を内側からコツコツと突きます。その音を聞きつけて、母鳥は外から突きます。内と外との突き合いが合わさって、固い殻が破れるのです。「啐啄」(そったく)という行為です。また人間の赤ちゃんは、抱いて欲しい時にはミズカラ両手を差し出します。お母さんはそれに応えて、そっと抱き上げます。相撲の立ち合いは、お互いの息や気配を感じ合って、合図なしに同時に立ち上がります。これらの行為は全て、お互いがお互いを誘い合う中で成立します。

 阿吽(あ・うん)の呼吸とでもいうのでしょうか。仏教用語で「阿」は口を開いて最初に出す音。「吽」は口を閉じて最後に出す音。「気が合う」とも「息が合う」とも言い換えることができると思います。人と人とが何事かを進める時に、お互いが持つイメージとタイミングが一致していると、説明をするまでもなくスムーズに事は運びます。でもどちらかが先走ったり、どちらかがグズグズしていると、ギクシャクした流れになりがちです。

 私は若い頃、子ども達にピアノやバイオリンを教えていました。意欲を持って習いに来る子はどんどん進むのですが、問題は音楽に興味を持っていない子どもでした。親にせっつかれてシブシブやってくる子どもには、まず音楽そのものに興味が持てるよう、いろんな工夫が必要になります。ところが親としては、月謝を払っているのだから曲はここまで進んでもらわないと、という要求です。子どもがヤル気を出すと事はスムーズに運びますが、そういうことを親にはなかなか理解してもらえなかったなぁ。